こんにちは。
ころぴす@kabumameta0629です。


現在私は米国中心にディフェンシブな優良資産株を毎月50万程買付し、配当を再投資するという地味で退屈な投資スタイルを採用しています。
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1.はじめに

2018年11月18日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

1999年にCOOとして日産自動車(以下、「日産」という。)に派遣され、着任後、様々な同社の改革を断行したカルロス・ゴーン氏の東京地検特捜部(以下、「特捜部」という。)による逮捕。

逮捕時の容疑は、ゴーン氏が有価証券報告書に自らの報酬を過少記載(※)したとして、金融商品取引法(以下、「金商法」という。)違反の疑いあり、というものでした。
(※2010~14年度の役員報酬を実際の100億から50億に虚偽記載したという容疑)

この報道を受け、日産の株価は大幅下落、その後一時1000円台まで戻したものの、昨日の米自動車大手業界団体による為替条項が必要だとのニュースを受けて再度暴落しています。

直近の配当利回りは6%を優に超え、予想PER、PBR等の株価指標だけ見ると極めて割安なようにも思える日産株。

今回の記事では、日産が抱える司法リスクにフォーカスし、同社に対しての投資妙味の有無につき検討してみたいと思います。
2.ゴーン氏の容疑のポイント

まず、ゴーン氏が特捜部と法廷で争うことになるであろう刑事司法上の問題について簡単に触れておきます。

(1)有価証券報告書の虚偽記載(金商法)

ゴーン氏の逮捕時の容疑である有価証券報告書(以下、「有報」という。)の虚偽記載につき、金商法上最大の論点となるのが、【Q:記載しなかったとされる報酬が、有報上の「報酬」に該当するか】という点。

言い換えれば、今回未記載とされている約50億円が果たして有報に記載すべき義務があるか否かということです。

【コメント】
この未記載とされている50億円についてはゴーン氏の退職後に支払う枠組みが検討されていたもの。

実際に受け取っていない未だ未払いの将来的な報酬が有報への記載義務が生じる「報酬」に該当するかは甚だ疑問。

あくまで約束に過ぎない報酬について虚偽記載だ!といって刑事責任(金商法197条)を問うのは厳しいのではないか。

検察さん、立証頑張ってね。

(2)特別背任罪(会社法)

上述した金商法違反容疑については、あくまで特捜部にとって取っ掛かりに過ぎず、本来の狙いは、会社法上の特別背任罪(※)(会社法960条)の立件と思われます。
(※特別背任罪は刑法247条の背任罪がベース。刑法上の背任罪に該当する行為のうち、行為者が一定の責任ある地位にある場合に、より重く処罰するというもの。)

この特別背任罪の立件にあたり、論点となるのが【Q1:私的流用とされるものが会社に損害を与えるか】【Q2:ゴーン氏本人や家族等の第三者の利益を図る目的があったか】といったところでしょう。

【コメント】
各種報道を見ていると、子会社の金を流用して世界各地の高級不動産を購入していた等、あたかも自分の利益を図るためにバンバン私的流用してたんだ!と思わせるようなニュースが散見されます。

今後、裁判を通じてこうした点の真偽も明らかになってくると思われますが、ゴーン氏側も死にもの狂いで反撃・反論してくるでしょうから、特捜部も立証には相当苦労すると思われます。

(3)補足

ここでは刑事司法上の問題のみ取り上げましたが、その他株主からの株主代表訴訟(会社法847条第3項、第5項)を初めとする民事上、また税務上の問題についても争点となってくる可能性があります。


3.法廷闘争の火の粉を浴びること必須の日産


上記2で述べたゴーン氏と特捜部との法廷闘争の火の粉は間違いなく日産にも降りかかってきます。

日産株を保有している投資家又は保有を検討してる投資家はこの火の粉について注視しておく必要があるでしょう。

以下、その火の粉について簡単に触れます。

(1)課徴金納付命令

現段階ではあくまで仮定の話となりますが、仮に上記2(1)の虚偽記載が認められた場合、有価証券の発行者たる日産もその責任は免れないこととなります。

具体的には、株式等の時価総額の10万分の6に相当する額(2億~3億程度)を国庫に納付することとなります(金商法172条の4)。

(2)損害賠償請求(証券訴訟)

株価下落に伴い、株主から損害賠償請求を提起される民事上のリスクがあります。
もっとも、我が国ではこの株主損害賠償請求は実例が少なく、中々広がりを見せておりません。

実際に同請求が認められた例として、決算で虚偽記載が問題になった西武鉄道事件や粉飾決算が問題となったライブドア事件が挙げられます。

(3)ゴーン氏無罪!?

ゴーン氏を引きずり下ろした日産の現経営陣としては、このゴーン氏無罪という結果が最も恐れるシナリオでしょうね。

この結果が現実化した場合、現経営陣の国内外からの猛烈な批判は避けられず、また、ルノー及び仏政府の経営的支配を強める大きな契機となりかねません。

もっとも、ゴーン氏無罪という結果は決して絵空事ではないと思っています。上記2(1)、(2)で触れた通り、特捜部に求められる立証は甘いものではないからです。

諸外国から野蛮と評される我が国の刑事訴訟手続き上も、推定無罪(日本国憲法31条、刑事訴訟法336条)ですからね。特捜部としては、有罪を明確に立証せねばなりません。

なお、万一ゴーン氏無罪となれば、ゴーン氏から日産に対し、代表取締役不当解任に伴う損害賠償請求(会社法339条2項)、地位確認請求(明文の根拠はないが実務上認められている)が提起されるリスクがあります。


4.結論


以上、長々と日産が抱える司法リスクについて見て参りましたが、まあちょっと日産株は買えないですね。

司法リスクだけでこれだけ多くのものを抱えこんでいる以上、今後株価がどう変動するかちょっと読みづらい。

また、司法上のリスクに加えて日産株の監理銘柄入りの可能性など、市場におけるリスクも隠れています。更に言えば、度重なる不正発覚といった不正体質も懸念点ですしね。

冒頭で述べたように株価指標だけ見るとついつい触手が伸びそうなんですが。。。


5.おわりに

初めてゴーン氏逮捕の報道を目にした時、逮捕という事実そのものに対する驚きに加え、報酬の過少申告といった中小企業のおやじさんがやりそうなことに対する容疑に驚いたのを覚えています。
(中小企業のおやじさんごめんね笑。)

日本国内の報道を見ると、まあ検察寄りというかゴーン氏けしからんといったトーンの報道が散見されます。毎度お馴染ですが。

一方、海外ではどちらかと言えばゴーン氏に対する同情的なトーンの報道の方が多いようですね。

最後にその例をいくつか紹介しておきます。

【米ウォール・ストリート・ジャーナル】:(ゴーン氏逮捕を受け)先進国の潮流とかけ離れた日本の司法制度や検察のリーク情報を垂れ流す日本メディアについて、共産党支配の中国の話か?と皮肉っています。

【仏代表的メディア、ル・モンド】:(日産の告発について)ゴーン氏を追放するための陰謀。

【英フィナンシャル・タイムズ】:(ゴーン氏の転落について)陰謀論が渦巻いている。


最後までお読み頂きありがとうございました。

それでは今日はこのへんで。
おしまい。
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